阪急うめだ「こどものいえ」制作秘話 キッズスペース プレイルーム

キッズスペース デザイン 制作 プレイスペース阪急うめだで子どもを遊ばせる有名なスポットといえば「こどものいえ」です。
あまりにも子どもに人気すぎて、子どもが帰らない・・・。
まさに親泣かせのキッズスペース。

木のおもちゃ専門集団が制作しました。
メンバーは、小松和人、サイトウケンイチ、中山カズト。
そして、わたし(多胡歩未)です。


※取り壊しについて

大変残念なことに「こどものいえ」は
オープンから数年後、
お客様同士のモラルによるトラブルなどの理由で
取り壊しとなりました。

こんなはずじゃなかった!
本記事は、キッズスペース「こどものいえ」の真意と子ども達への思いを綴っています。

キッズスペースはこんなところです

2012年 阪急百貨店うめだ本店のグランドオープンに伴い、
11階おもちゃ売り場にキッズスペース「こどものいえ」が誕生しました。

4人の「遊ぶ木」メンバーで、デザイン制作を担当しました。
もっと言うと一部の施工まで!

「こどものいえ」の特徴

未就学児が対象の、木に囲まれた空間です。
4人の木のおもちゃ作家による、
ワクワクを追求しまくった、手作りの空間です。

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従来の、おもちゃがたくさんあるひろば的な場所とは異なり、
壁面を利用し、空間全てで遊べる、
目に入るものすべてがおもちゃというワンダーランド。

保護者の方には申し訳ないけれど、
「帰らせてくれないちびっこ」続出のプレイスペースです。

「 こどものいえ」はこんなしかけ

僭越ながら、arumitoyのデザイン案が採用され、
ブラッシュアップさせていく中で、一番こだわったのは、

「次から次に現れるしかけやデザインで、
いかにちびっこのココロをわしづかみするか」
ということ。

大きな柱を囲む円形の空間であることを最大限に味方につけ、
文字通り、壁伝いにエンドレスにぐるぐる、遊び続ける、
いや、遊び続けてしまう、
来たら最後、気がついた時にはココロはわしづかみ!
となるように設計されております。

キッズルーム デザイン 制作 プレイルーム

初期の頃のスケッチを見ていると、
・きのこ
・遊具
・穴
・しかけ

という不思議ワードが書かれております。
(真意は覚えておりません 笑)

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たくさんのアイディアを出しましたけど、
もちろん不可能アイディアもそこそこあって、
実現性と安全性と(オトナな事情の)コスト面
をクリアできた精鋭アイディア達による部隊です。

「さぁ、君たち!ちびっ子に遊び倒されるんだー!」
という任務をさずけております。

過去スケッチをもうちょっと見てみると・・・

IMG_2462-min(1) IMG_2463-min(1) IMG_2464-min(1)

イメージを共有するためとはいえ、
私のイチオシアイディアにYESと言ってもらうための
必死のアピールも見られますね。

4人はそれぞれ独立したおもちゃ作家として活動しているので、
各々のおもちゃが実はさりげなく組み込んであって、
木のおもちゃマニアがこっそりうなる空間でもあるのです。

今の子ども達に必要なもの

このお仕事の話を聞いたとき、
私は心底ワクワクしました。

2007年頃に「ポリーポルタン」というおもちゃを作った頃から、
「空間を作りたい」という想いがあって、
とうとうキター!!という感じでした。

今の子ども達に作ってあげたかったもの

制限された中でしか遊べない、今の都会の子ども達に、
あんな事やこんな事が向こうからやってきて、
どうにもこうにも、真剣に遊ばずにはいられない場所を作ってあげたかったのです。

でもこれは、与えられた中で遊ぶという消極的な事ではなく、
もっと楽しく遊ぶために、想像力を要するように設計されていて、
毎日来ても、昨日とは違う遊び方のできる空間なのです。

今の子ども達に必要なもの

私は、今の子ども達にとって必要なものは想像力だと思っていて、
昔にくらべ、その能力を発揮できる場面が激減していると実感します。

それは、子ども達の居場所が制限されているからだと思うのです。
子どもは外で遊びなさいと言われても、
外はキケンがいっぱいで、公園の遊具ですら満足に遊べない状態です。
だからといって道路で遊んでも怒られるし、
小学生が公園のベンチに集まって、通信ゲームをやっているのも、
もう彼らには行く場所がないのかと、オトナとしての責任も感じます。

決められた事は誰よりもしっかりできるのに、
好きにしていいよ!と言われると固まってしまう子ども達は非常に多いです。
これは生まれた時から、自分で選択できない環境におかれているからだと思っています。

想像力があるかないかで人生は変わる!

逆に、好きにしていいよ!と言われ、嬉々として動ける子は、
自分で考える力をもっていて、工夫するという事を知っています。
それはすなわち想像力であって、
与えられた環境で、どうやったら楽しめるかを考えられるのです。
この力は、オトナになったときに威力を発揮します。
人と違う選択をすることができ、それを楽しめるからです。
でも想像力は、大人になってからでは育めないのも事実です。

今やってあげるべきこと

想像力を伸ばすには何をすればいいのでしょうか

私は木のおもちゃ作家として、
子ども達の想像力を爆発させる事に心血を注いでいるのですが、
想像力なんて、子どもの専売特許みたいなもんで、
実は全員持ち合わせているんですよ!

まずオトナがやらなければいけない事は、

邪魔をしない

何かをしようとしている子に、
「あ、それあぶないから!」
とか言わない!

「やってあげるから」
なんてもってのほか!

私達がやるべきは、

見守る

ことです。

危ないのなら見守って、
もう本当にヤバイ!
という場面で手を差しのべるのです。
しかも、「差しのべる」だけで、
解決してはいけません。

自分で解決できるように導くだけです。

想像力があるとどういう考え方ができるの?

そうすると、その行為が危ないという事を学び、
次に同じような場面で、
「もしかしたら、この状況はあの時と同じかもしれない」
と思考回路が繫がるわけです。

すなわちこれが想像力で、
「あの時はこうだったから、こうすれば楽しいかもしれない」
とか
「こうやったら喜んでもらえたから、こうすればもっと喜ばれるかもしれない」
とかになっていくのです。

だから、思う存分安心してやれる環境というのが必要なんだと思っています。
実はそういう想いを持って、「こどものいえ」も作ったのです。

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