木のおもちゃに想うこと。

木のおもちゃのいいところは、世界に一つしかないってことだと思うんです。だれがどんなに頑張ったって、同じ物はつくれないんです。自然の摂理に従って生まれたのもは、世界にただ一つです。人間と同じですね。それゆえ「いい」と言われるんだと思います。有機的で個性的だから。
たとえば具体的にどんなところがいいんでしょう。
まずは木目です。木目の入り方に同じ物は一つとしてないのです。その木が育った環境によって変わります。同じ環境で育ったとしても、日当たり具合、標高差、地形の差によって木目はかわります。成長過程によってもかわります。人間だって、家族みんな同じ環境で育っても、それぞれ性格が違うのと一緒です。日光のぐあいで木肌も違ってきます。色の白いのや濃いの、しみやフシがあったりもします。それも世界で一つの個性なのです。
それから、木は色んなものを吸収します。鼻水もよだれも手垢もなんでも。おもいっきり噛んだら歯型だって残ります。日焼けもするし、膨張も乾燥もする。人間と共存できるのです。そうやって共に歩んでいけるのです。他にそんな素材はありません。思い出と成長の過程がそこに刻まれます。そんなものがいっぱい詰まったおもちゃは世界でただ一つです。
さらに、木は香ります。一番最初の匂いはもしかしたらarumitoyのアトリエの匂いかもしれません。もしくは亜麻仁油の香りだったりそれは分かりません。でもその最初の香りは時と共に消えてゆきます。そしてその後は自分の匂いになっていくのです。それは木そのものの香りかもしれないし、お家の匂いか、お部屋の匂いかもしれない。それもまた成長の過程としてしみこんでいくのです。そんな香りのおもちゃも世界に一つです。
それだけのものを吸収した世界に一つのおもちゃはいつまでたっても大事にしたいと思えます。共に時を過ごし、よりいい色に、より良い香りになっていきます。時と共に変化していくのです。だから大事にできます。それができるのが木のおもちゃだとあるみ氏は思います。
たとえ、このおもちゃの持ち主がオトナであっても同じことです。有機的で個性的な仲間がいつも部屋にいて、あなたとの思い出がしみこんでいるんです。考え事をしながらいじくりまわしたり、電話をしながらなでまわしたり、お客さんを出迎えたり。そんな役目も果たせるマルチな木のおもちゃはとても大事になりますよね。そこに自分の成長過程がプラスされているんですもの。
そのおもちゃがお子さんのものだったとしたらなおさらです。わが子の数え切れない思い出がぎゅうぎゅうに詰まっています。おもちゃのキズ一つもすべて思い出です。それもこれもひっくるめて、あなたの思い出でもあります。だからずっとそばに置いておきたい。
arumitoyが見事にその役割を果たしてくれることを望みます。ずっとずっと大事にされたい世界でただ一つのおもちゃでありたいのです。
(update 2004.10.31)

前の記事

この道に至るまで。

次の記事

ドイツ生活の総括